こんにちは。
日本アドラー心理学振興会代表の田山夢人です。
今日はカウンセリングの治療というか、相談を進めるプロセスのイメージのようなものをお話しようと思います。
たとえば頭が痛くて病院に行くじゃないですか。
したら「はい、頭痛薬出しときますね」となります。 そうすれば頭痛は治りますでしょ。
これはいわゆる「医学モデル」というやつですね。心療内科や精神科もこういうスタイルです。症状を問題とみなして、それを消すために薬を出します。
でも、アドラー心理学のカウンセリングはこうはいかないんですね。
アドラー心理学のカウンセリングも一応解決志向型といわれるので、ポンっと解決策出すのかなと思われがちなんだけど、そんなストレートには出しません。
それにはちゃんと理由があって、頭痛自体が問題だと思ってないから。
たとえば「人と比べてしまうんです…」というご相談が来ます。
このご相談に対して「こうすれば比べません」という風に「比べないお薬」はアドラー心理学は出さないんです。
なぜなら、「人と比べる」ということ自体に無意識的な目的があるから。
つまりこの人は「必要で」比べているんです。比べることで「ある願い」が叶ってるんですね。
アドラー心理学のカウンセリングでは、その無意識的な目的である「願い」を明らかにしないと、本当の意味で解決しないと考えてるんです。
これ、実際カウンセリングしていきますとね、たとえば人と比べて自分が劣っていると思うことで…
みたいになってくるわけですよ。
(もちろんこの流れは人によって中身違いますからね)
するとこの人の「人と比べる」というのは、なるほど自分が失敗して傷つかないために、安全でいるために大いに役立っているなとなるわけです。
これはつまり、今のこの人から「比べる」を奪うと、傷つく危険性があったり、その状況になったときに乗り越える術がないってなる。
ってなったら、いきなり「比べないお薬」なんて渡せないでしょ。
この人の問題は人と比べることではないし、必要なのは「失敗する勇気」とか「傷ついた時の乗り越え方」じゃないかなって考えたいんですよね。
いかにして、人生にとってプラスな方向で安全を手に入れる力を身につけるかです。
だからアドラー心理学は、はじめから頭痛薬は渡さないんだよって話でした。
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