育った家庭の影響を考える

こんにちは。
日本アドラー心理学振興会代表の田山夢人です。

先日、毎月2~3回のペースで行っているアドラー心理学勉強会「アドスタ」でした。

その時のテーマは「家族布置ときょうだい競合」というお話で、講義とワークを行いました。

今現在、人間関係でお悩みがあるとか、生きづらさを感じている方は、幼い頃に育った家庭環境を振り返ってみるのも生きづらさの改善につながるひとつの道になるかもしれません。

私たち動物にとって、多くの場合、生まれてから最初に所属する社会が「家庭」であり、最初にかかわる人間関係が「家族」ですね。

大きくなるにしたがって保育園や幼稚園、小学校と、だんだん人間関係は広がっていきますが、子どもにとって最初の数年間は家庭が社会であり、世界のすべてかのように思えるものです。

現代のアドラー心理学では個人の人生の運動法則であるライフスタイルの形成がだいたい10歳前後と言われますが、はじめのころアドラーは3歳や5歳と言っていたり、とにかくもう少し早い段階でライフスタイルが決まってくると言いました。

ライフスタイルが決まるのが何歳にしても、ここからわかるのは、少なくともライフスタイルの原材料となるものは生まれた最初の「家庭」や「家族」から多くをもらっているということです。

そして、とりわけきょうだいがいる人は、親よりもきょうだい同士の関係がライフスタイルにより強く影響を与えるとアドラー心理学では考えます。もちろん例外もある。アドラー心理学の結論は「人それぞれみんな違う」ですからね。現に私は一人っ子できょうだいがいません。あくまで「きょうだいがいれば」ということなのでしょう。

家族という共同体に所属するために、たとえばお兄ちゃんはお勉強が優秀なら、自分はスポーツを頑張って家族に所属しようとするかもしれないし、妹がしっかりしているなら、自分は多少だらけても大丈夫かなと態度を決定するかもしれない。

そうやってまわりのきょうだいの様子をうかがって自分の在り方を決めていき、それはいつしか無意識的になり、大人になっても基本は変わらず、幼い頃に決めた態度決定のまま人生を送っていきます。

そしてそれらの態度決定を大きく包み込むのが、「家族の価値」や「家族の雰囲気」というものです。

家族の価値は、その家庭で大事にされてきたルールや教訓、家訓、価値観のことです。ちゃんと勉強をしなさい、人に親切にしなさい、うそをついてはいけません、など。

明確に言葉となって現れていることが多いです。この家族の価値には両親が一致している意見と、対立している意見があります。

たとえば、父親は「自由に好きなように生きなさい」といっているけど、母親は「いい大学いい会社に入って人さまに恥じない生き方をしなさい」というのは対立している意見ですね。

子どもはその価値観に沿って生きようと努力することもあれば、それに反して生きていこうと努力する場合もあります。

家族の雰囲気は、家族全体のコミュニケーションの雰囲気とでもいいましょうか。先ほどお伝えした家族の価値を、協力的なコミュニケーションで実現させようとするのか、それとも競合的に誰か一人が実権を握り、恐怖で支配しながら無理やり実現させようとするのかなど、その家族の空気間が家族の雰囲気です。

こうして幼い頃に育った家族に関して思い返してみると、実に多くのことが現在の自分の生活に繋がっていることに気が付きます。

ただ、一つ注意したいことは、幼い頃の家族や育った環境というのは、あくまで「影響」に過ぎないということ。

昔そのように育ったから今があるわけではありません。それだと原因論的でアドラー心理学ではなくなってしまいます。あくまで今の自分が自身の人生の目標に向かって態度決定するための材料として、過去を影響因として採用しているに過ぎないんですけどね。

現在、コミュニケーションで生きづらさを感じている人は、一度、自分の家族に関して振り返ってみるとその謎が解けるかもしれません。あなたもぜひご自身の育った環境について振り返ってみませんか?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次