こんにちは。
日本アドラー心理学振興会の田山です。
私がアドラー心理学を学んでいたときに、「なるほどこれは素敵な考え方だ」と思えたことがありました。
アドラー心理学を学ぶときに、このことに気をつけながら日々実践していくと、効果をより早く実感できるようになるかもしれません。
「思うでもなく、感じるでもなく、考える」
この言葉です。
詳しくお話ししますね。
この言葉のミソは「考える」の部分なのですが、この「考える」というのはどういうことかというと、アドラー心理学の公式に当てはめてエピソードを考えるということです。
私たちが子どもの頃、算数や数学の問題をいきなりバンッと見せられても、解くことはできなかったと思います。
先生が解き方の公式、考え方を教えてくれて、その公式に当てはめて問題を考えると解くことができたのではないでしょうか?
私たちが日常で感じている悩みに関しても同じことが言えます。
普段、私たちは自分の価値観やルールに従ってものごとを思ったり感じたりしています。
たとえば、夫が嘘ばかりつく。それを見ているとイライラするし悲しいから、いつも嘘をつかれると怒っている。「なんで嘘つくのよ!やめてよ」その度に夫は謝るが、嘘をつくことをやめない。きっと夫は私に何か隠し事があるんだわ。誰か他に好きな人ができて、私のことはもう好きじゃないんだ。
そんなことを無意識かつ自動的に思ったり感じたりしているわけです。これは公式に当てはめて考えているのではなく、我流でもんもんと感じているだけです。
この事例を「考える」とどうなるでしょうか。つまり、アドラー心理学の公式に当てはめて考えるとどうなるのか。
いくつか例をお話しします。
まず、1)人の行動には対人関係的な目的がある。
この視点から考えると、夫の嘘には目的があるわけです。
対人関係的な目的ですから、おそらく嘘をつくことによって奥さんに対し「○○させるため」とか「○○させないため」とか「○○してもらうため」みたいな目的があることが考えられます。
「嘘をつくことで私にどうしてほしいんだろう」と一旦考えてみるだけで、いつもとは違う未来に行ける可能性が出てきますね。
加えて夫の育ってきた環境や、両親のことを考えてみると、この人はもしかしたら否定されたり責められたり怒られたりするのを回避するために嘘をついているのかもしれない…などの可能性も見えてくるかもしれません。
2)行為の結果、いつもどうなっているか。
今回のケースで言えば、嘘をついた夫に対して「いつも嘘をつかれると怒っている」というのが奥さんの行為であり、行為の結果いつもどうなっているかと言えば「謝るが嘘をやめない」という結果です。
これはつまり、嘘をつくことに対して怒っても意味がないということが証明されているということです。
そんな時にアドラー心理学は、まずいつもしている行為をやめてみることを実験してみたいです。
嘘をつかれても怒らない。怒らないで様子をしばらく見てみる。するといつもとは違う反応が出てくるかもしれません。
3)事実と意見を区別する。
そもそも自分の頭の中に流れたことは事実なのか、それとも意見なのかを整理しておきたいです。
嘘をつくというのは事実かもしれません。しかし、隠し事があるとか、他に好きな人ができたんだとか、私のことをもう好きじゃないんだというのは、事実確認できているわけではなくて、自分が強く「そう信じているだけ」の意見にすぎないかもしれません。
意見を事実のように信じ込んで悩むのは手放せることかもしれません。
などなど。
他にもアドラー心理学の公式で考えることはたくさんありますが、このようにアドラー心理学の公式に当てはめながらエピソードを考えてみることで初めて見えてくることがあったりします。
それが「考える」ということだと教わったんですね。
これからアドラー心理学を学ばれる方、今現在、アドラー心理学を学ばれている方。
きっと学びながらも「いや、そんなわけない」とか「他の心理学や脳科学ではこう言っているんだ」という意見が頭の中をよぎることもあると思います。
それはそれでOKです。
ただ、アドラー心理学を学ばれる時は、ひとまずそれらの思いを一旦横に置いて、アドラー心理学の公式に当てはめてエピソードを考えてみることを実践してみてください。
ある学者が、禅のお坊さんに「禅とは何ですか?」と聞いたそうです。
すると禅のお坊さんは何も答えず、ただただ学者の茶碗にお茶を注いでたんですって。
しかもお茶があふれても注ぐのをやめなかった。
すると学者は「和尚、お茶があふれています。もう注がなくていいですよ」と言ったそうです。
それに対して禅のお坊さんが「あなたもこの茶碗と同じように、頭の中が自分の考え方や見方であふれています。まず自分の茶碗を空にしてからご質問ください」と答えたそうな。
ぜひアドラー心理学の公式で解く練習を実践してみてくださいね。
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